スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

葉脈

葉脈



僕は木の葉を写生してゐた
僕は葉脈の美しさに感歎した
僕はその美しさを描きたかつた

苦心の作品は しかし
その葉脈を末の末までこまかく描いた
醜悪で不気味な葉であつた

それはたしか十歳位の頃だつた
それはついこの間のやうで
あゝ その日から三十何年経つてゐる

三十何年振りに僕は
葉脈の美しさに感歎してゐる
三十何年の早さ短かさに感歎してゐる

感歎しつゝこまかい葉脈を見てゐると
嘗つてのこまかい写生の醜さのやうに
自分の三十何年のこまかい醜さがありありと思ひ出される




高見順 詩集/樹木派

プロフィール

梅田慈将

Author:梅田慈将
ただ生きているということは、生きる、ということではない。そのままそこで死んでいるような、つまらない男です。

カテゴリ
アナログ時計(黒)
金魚
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。