スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

子守唄

子守唄



南方というのが
マカッサルだか、ニューギニアのどこだか。

赤道よりもむこう。
茫漠の彼方で
熱病と飢餓にやせおとろえ。

血あぶらに草も枯れ
飢にかわき
腐らんした死体のあいだを這いまわっている。

その子に、夏ミカンを運ぶ夢をみたという。
やせ細った腕の
折れてしまいそうな白さ。

七年の歳月をこえて
確認されることのない、
しかし生きているよすがもない。

冬の二月の夕ぐれの明るむ部屋に
熱のある孫に添い寝して
「銀座のカンカン娘」をうたう。

まったくの絶望のなかに
飢えて死んだ子の、母の、
老母がうたうジャズの子守唄。
               (1950)




秋山清 未刊詩集/菊科の雑草

プロフィール

梅田慈将

Author:梅田慈将
ただ生きているということは、生きる、ということではない。そのままそこで死んでいるような、つまらない男です。

カテゴリ
アナログ時計(黒)
金魚
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。