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ちいさな橋

ちいさな橋



生まれたその日から
そのことだけを習ってきた
この世界に橋を架ける できるだけ多く橋を架ける

朝の逆光線のなかで
私はビルとビルとの細い隙間に橋を架ける
目的もなく
かけあしで急ぐひとの 心と心の裂けめに橋を架ける
だが
引き裂かれた心と心のあいだは
もうだれの手にも届かない距離になっている

夕暮れの赤外線のなかで
私は過ぎゆく瞬間と来るべき瞬間に橋を架ける
理由もなく
うなだれて歩くひとの愛と憎しみのあいだに橋を架ける
そしていつかは
人間と人間とのあいだに 時と場所とのあいだに
どんな暴風雨にもこわれない橋が完成するのを夢みる

生まれたそのときから
このことだけを考えて生きてきた
この世界に橋を架ける できるだけ多くの橋を架ける




木原孝一/未刊詩篇から


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プロフィール

梅田慈将

Author:梅田慈将
ただ生きているということは、生きる、ということではない。そのままそこで死んでいるような、つまらない男です。

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