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雪のふる下に波がうっている。
ながいながい渚に大きな波がうっている。
漁船が雪に埋もれている。
ちいさい川があってそこだけ雪がくずれ
人がいるかとうたがわれるほど粗末な小屋がある。
おなじような景色が来てはまた過ぎる。
噴火湾は漠々として水平線が見えず
さむい藍黒の海いちめんに雪がふっている。
汽車は速力をあげてすすみ
雪ふりながら
海が夜になろうとしている。
ひた走る汽車の
二重張の硝子戸に額をおしつけてみると
空いっぱいに雪も海も暮れてゆく。
全速力の汽車も
はしりながらいっしょに暗くなってゆく。
抵抗できぬこの大きな速度のなかに
私はただ叫びごえをあげたくなった。
その叫びたいこえをこらえて
夜になるのを見つめていた。
             (昭和十六年)




秋山清 詩集/白い花

プロフィール

梅田慈将

Author:梅田慈将
ただ生きているということは、生きる、ということではない。そのままそこで死んでいるような、つまらない男です。

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