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平和のはなし

平和のはなし



平和がほしい 平和をちょうだい!
不器量な娘が青年にいう
明日の帰りに買って来て わたしを愛しているならば
お父さんの酒乱がなおり
わたしたちがいっしょになれるぐらいの
一番小さなものでいい!
青年はおずおず 頭の中で計算する
どこに売っているだろう? 金足りるかな?
まあ探してみるか ともだちにでも聞いて・・・

平和をよこせ 平和を買おう!
貧しい青年が月賦販売店にいう
十カ月払いで平和をくれたまえ!
最新式の新婚むきのやつを!
目をまるくした店員は ひそひそ
やっと現れた支配人がいった
あいにく平和はこのところ品薄で・・・
すぐとりよせますですが その代わり
新型マットレス ゴルフズボン
絶対遅刻しない目覚し時計ではいかが?

平和を早く 平和を送れ!
金繰り苦しい支配人は問屋にいう
いろんな形式とり揃え 大量にだ!
おまえのところは大体誠意がないよ
電話代はそっちにつけたからね
すると とつぜん くらやみのなかから
平和がやって来た あいさつぬきで
泥と血にまみれ重い袋を背負い
傷だらけの手をひろげて
割れた唇で息を吐いた そしていった
さあ 代ってこの袋を背負いたまえ
そしてぼくには 一杯の冷たい水を
飲ませてくれよ




三木卓 詩集/東京午前三時

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プロフィール

梅田慈将

Author:梅田慈将
ただ生きているということは、生きる、ということではない。そのままそこで死んでいるような、つまらない男です。

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