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わたしたちの魂が
通り過ぎてきたちいさな町を知っていますか
だれも気ずかないちいさな町を

窓の上に
星の軋道が
きしみながら空から垂れさがっていて
町かどの
だれもいない乳母車のなかからちいさな叫びが聞こえてくる
「あああああ
 生命のあるもは消えてしまった
 みんな消えてしまった」
肉屋には牝牛を吊りさげていた鉤針が残っている
公園には仔犬をつないでいた鎖が残っている

わたしたちの魂が
住んでいたちいさな部屋を知っていますか
だれも気ずかないちいさな部屋を

テエブルのうえの
葡萄酒の瓶も
グラスの皿もからっぽのまま
椅子も戸棚もからっぽのまま
壁ぎわの
錆びたベッドのなかからちいさな囁きが聞えてくる
「ううううう
 内部のものは消えてしまった
 みんな消えてしまった」
世界の中心に吊りさげられた電球のしたで
時間をうしなった目覚まし時計が鳴っている




木原孝一


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プロフィール

梅田慈将

Author:梅田慈将
ただ生きているということは、生きる、ということではない。そのままそこで死んでいるような、つまらない男です。

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