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あくびの子ども

あくびの子ども



だまって
通る人を
見あげ見おくっている。
この六つくらいの子どもを
ぼくは自分の幼い子とくらべた。
しろい肩がみえ
メリヤスのシャツがやぶれている。
板きれをしいて
ズボンに下駄ばきのひざをだき、
ちいさな紙箱と
横にボール紙に
「私ノ父ハ軍属トナッテ――」と、六、七行かいてある。
止まる人も
読む人もない。
地下鉄からでてくる段々の中途で
人の足をとめるにはわるい場所だ。
いま出てきた人が
ひととおり途だえたとき。
両手をつきあげて
子どもは大きなあくびをして
ちょうどふりかえったぼくをみて、にこっとした。




秋山清 詩集/象のはなし

プロフィール

梅田慈将

Author:梅田慈将
ただ生きているということは、生きる、ということではない。そのままそこで死んでいるような、つまらない男です。

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