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君も

君も



僕と同じように 君も
ささやかな朝の食事のあと
鏡にうつしたワイシャツ姿の首を
ネクタイで締め上げ
苦悩の人が死ぬのを見届けてから
此処へ来たのだろうか。
みがかれた靴をはき
家族とさよならをして。

朝のひととき
机に積み上げた書類の山を前に
一服の煙草を
うまそうに吸っている
親しい友
かすかに不敵な横顔。

だが いつまで持ちこたえるだろう
苦悩の人を殺しまた蘇らせるくりかえしを。

蘇りのときの
次第に稀になってゆく焦燥の中で
ぼんやりと

ラジオ番組の全部を
聞き終えてしまうことはないか
僕と同じように
君も。




吉野弘 詩集/「消息」

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プロフィール

梅田慈将

Author:梅田慈将
ただ生きているということは、生きる、ということではない。そのままそこで死んでいるような、つまらない男です。

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