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こんにちは。

こちらは、福井県在住のギター弾き語り、梅田慈将の、
近代詩・現代詩収集のブログです。
これまでの人生で出会った詩を、作者別にまとめております。
この世界には、本物の詩が、あります。
それらを、きっとこの世界のどこかにいる、言葉の伝わる
あなたにシェアしたい。それが僕の、この場所の動機です。

梅田慈将個人の活動につきましてはHP「梅田食堂」をご覧下さい(現在活動休止中)。
http://yoshiyukiumeda.web.fc2.com/


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町にて

町にて



ジンタなんかより
花火なんかより
日曜日の街に若い父母と一杯の子供達をつめて走つてゐる
自動車の中や
暗い街を轟々と人々をつめて走つて来る
明るい市内電車の中の方が
もつとずつと賑かで
もつとずつと物悲しい




杉山平一 詩集/「夜学生」




ストーブ

ストーブ



行く道は次々にふさがり
僕の胸は暗い石炭で一杯だ

けれども燃えるぞ
今に声あげて燃えるぞ




杉山平一 詩集/「夜学生」








その時分 僕の思想は風邪をひいてゐたのだ
それで 抑へても抑へてもあんな無意味な言葉が咳のやうに次々にとんで出たのだ




杉山平一 詩集/「夜学生」








矛盾だらけの自分を慰め包んでくれるのは暗い闇のマントだ
僕はそれを着てあるく
自分のみじめさを抱きしめるために時々腕を組んだりして




杉山平一 詩集/「夜学生」より

途上

途上



水をのむ馬のやうに
頭を垂れて
悲哀にくちづけてゐた
私は疲れ
あまりに渇いてゐた




杉山平一 詩集/「夜学生」より






彼は年中洟をかんでゐる。
彼は鼻が悪いからだ。
彼は年柄年中何か書いてゐる。
彼は心が病気だからだ。

病気だから彼は大きな声で怒鳴らない。
人の邪魔はしない、
人の生活に文句はつけない、
自分が苦しんでゐるから人を苦しめない。

彼は鼻が悪いから、
下らないことを嗅ぎ出したりはしない。

彼は年中洟をかみながら、
何かしらコツコツと書いてゐる。

(十一月八日及び九日)



高見順 初期詩篇から

積木

積木



困るといふことは面白い
僕はひとりで困つてひとりで遊ぶ
ひとりで積木遊びをする子供のやうに

もうひとつ重ねると
折角高くなつた積木が
崩れさうで困る

悲しみを上手に積み上げて
僕は遊び 僕は困る
悲しみの一片をさらに積み重ねたものかどうか




高見順 詩集/重量喪失

黒板

黒板



病室の窓の
白いカーテンに
午後の陽がさして
教室のようだ
中学生の時分
私の好きだった若い英語教師が
黒板消しでチョークの字を
きれいに消して
リーダーを小脇に
午後の陽を肩さきに受けて
じゃ諸君と出て行った
ちょうどあのように
私も人生を去りたい
すべてをさっと消して
じゃ諸君と言って




高見順 詩集/死の淵より

光(五)

光(五)



海のかなたの遠くにゐるキリコ氏
あなたの絵にわたしは向つてゐる
あなたをわたしは想ふ

あなたは暗い部屋で呟く
芸術家の光は窓からでなく心からくるものだと
遠い呟きがわたしに聞える
暗い部屋であなたの呟きを聞く

狂つたと噂される懐かしいキリコ氏
あなたの絵をわたしはわたしの暗い部屋でみつめてゐる




高見順 詩集/樹木派
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